公益財団法人宮崎県立芸術劇場の自主制作公演シリーズです


by jiku-no-tabi
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劇評3


2月27日付宮崎日日新聞文化面に劇評が掲載されました。
厳しいお言葉、次への大きな課題として受け止め、今後の励みにしたいと思います。
(以下、宮崎日日新聞記事から抜粋)


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演劇でも映画でも、他人が表現したものに感動を覚えるのは、そこに自分の人生とクロスする何かを感じ取り、感情移入して共感したり反発したりするからだろう。
それはほとんど無意識のうちに行われることで、なぜ面白かったのか、あるいはなぜ面白くなかったのかは、しょせん後付けの理屈にすぎない。

九州各県から集まった華麗で達者な役者たち。
簡潔で美しい舞台装置。
練り込まれたせりふ。
テーマも切実で、それでも面白くなかった場合、それをどう理屈付けすればいいのだろう。

「女の平和」(作=アリストパネス、構成・演出=永山智行、7日、メディキット県民文化センター)を観てから、私はずっと考え続けている。
「一緒にあはははと笑いましょう。」と劇場用パンフレットには書いてある。
だが、私はただの一度も笑えなかった。
唯一心が波立ったのは、木内里美の変幻自在な演技を観たときだけだった。
客席からも大声で笑う声は聞こえなかった。
いや他人のことではない。
私が笑えなかったのはなぜだろう。
永山は本気で客が「あははは」と笑うと思ったのか。
だとすれば、永山にとって笑いとはなんだろう。

原作は有名な紀元前のギリシャ喜劇である。
県立芸術劇場が開館15周年を記念し、県内外に発信していくシリーズ企画「演劇・時空の旅」の第1作。
戦争に明け暮れる男たちに対して、戦争をやめさせるために女たちがセックス・ストライキを起こす。
その効果は絶大なのだが、当の女たちにも予想もしなかった葛藤(かっとう)が襲い掛かる。
そして、象徴的に描かれる男と女の和解。
誕生する小さな生命。
ラストシーンでは、背景の黒い幕が開いて青空にたなびく子供たちの洗濯物が現れる。
美しいシーンではあったが、観念的すぎて、もはや心に響かなかった。

永山は今や宮崎にとどまらず、九州を代表する演劇人の一人である。
その誠実な人柄も覚悟も才能も多くの人が認めるところである。
だからこそ、敢えて私は問いたい。
永山よ、どこへ行く。
(福島高校・段正一郎)
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by jiku-no-tabi | 2009-02-27 10:45 | #1 女の平和 広報